コト「未来は大事なの?」
博士「大事だね」
コト「どう大事なの?」
博士「物質の世界では、過去、現在、未来はつながっている」
コト「うん」
博士「生物の世界では、親が子を産み、子が孫を産む。この繰り返しによって生物は進化してきた」
コト「うん」
博士「人間も同じだよ」
コト「そうだよね」
博士「ただ、ここで問題がある」
コト「何?」
博士「個人の未来は老いて死ぬことなんだ」
コト「うん」
博士「個人が集まった共同体の未来は子供が担うんだよ」
コト「それはそうだね」
博士「個人の未来は高齢者だ。共同体の未来は子供だ。ここで、高齢者と子供のどっちが大事かという問題が生じる」
コト「うーん」
博士「個人が大事か、共同体が大事か、という問題に置き換えることもできる」
コト「どっちが大事なの?」
博士「個人はいつか必ず死ぬ。共同体は半永久的に残り続けることができる」
コト「うん」
博士「だから、個人より共同体を優先するんだよ」
コト「個人ではないの?」
博士「人類の祖先が老人を生き長らえさせるために子供を殺し尽くしたとしよう。その場合には人類は絶滅する。僕らは生まれてくることができなかっただろう」
コト「それはそうだね」
博士「現在の高齢者も、前の世代から生命を与えられたから生きているんだ」
コト「うん」
博士「だから、これまで受け継いできたことを未来に伝えることが大事なんだ」
コト「うん」
博士「人間が与える影響というのは未来に与える影響でもあるんだよ」