コト「善悪って何?」
博士「物質の世界に善悪はないよ。ただ、物体と現象があるだけなんだよ」
コト「まあそれはそうだね」
博士「生物の世界にも善悪はないよ。強いて挙げれば絶滅することが悪と言えるかもしれない」
コト「うん」
博士「人間の世界では、人間が物事に対して勝手に善と悪に振り分けているだけだよ」
コト「そうなの?」
博士「人類は善悪を含めた感覚をある程度共有している」
コト「うん」
博士「それをコモンセンスというんだ」
コト「そうなんだ」
博士「でもそれはあくまで感覚であって何ら根拠がないものなんだ」
コト「そうなの?」
博士「ただ、人類が生きてきた過程で獲得してきたものでもあって今でも残留しているものなんだ」
コト「そうなんだね」
博士「具体的な話をしようか。盗みは悪いことだと思う?」
コト「そうだと思うよ」
博士「盗みを成功させた人はドーパミンを分泌するんだ」
コト「幸福を感じているということ?」
博士「そういうことだね。だから依存症になることもある」
コト「えー」
博士「人にマイナスの影響を与えても幸福を感じることがあるんだよ」
コト「それはいいこととは言えないね」
博士「人から何かを奪って得たものでも、人は幸福を感じることができるんだよ」
コト「それは悪じゃないの?」
博士「そういうふうに定義してきただけだね。でも多くの人は盗みを悪だととらえているよね」
コト「そうだね」
博士「善悪も人間が創造したフィクションなんだよ。ただ、人間が社会を形成する上で必要だったものでもある」
コト「うん」
博士「善悪についても定義しなおすことができるよ」
コト「そうなの?」
博士「プラスの影響を与えることが善でマイナスの影響を与えることが悪だと定義することができる」