生き方を科学する

物理の専門家が科学と哲学を融合します

第35回 幸福の追求がもたらすものとは?(人類階層:思想)

コト「他人にプラスの影響を与える生き方をすればいいの?」
博士「そうだね。社会にプラスの影響を与えることにもつながるんだよ」

 

コト「それだと幸せになれないんじゃないの?」
博士「幸福は与えられるものだと思っているの?

 

コト「違うの?」
博士「物質の世界も生物の世界も幸福を目指していない

 

コト「また身も蓋もない」
博士「物質の世界には幸福という概念はない

 

コト「それはそうだろうね」
博士「生物は子孫を残すことに注力している

 

コト「うん」
博士「人類も幸福になるために生まれたわけじゃない

 

コト「それはそうかもしれないけど」
博士「ただ、例えば、親しい人に親切にすればオキシトシンという神経伝達物質が分泌される

 

コト「幸せを感じられる物質なの?」
博士「人とのつながりを感じて幸せを感じる

 

コト「それはいいね」
博士「例えば、漫画や音楽を創作して作品がヒットすればドーパミンという神経伝達物質が分泌される

 

コト「そうなんだ」
博士「そんな極端な成功じゃなくても社会に貢献するような成功をすればドーパミンは分泌されるよ

 

コト「いいことずくめだね」
博士「誰かに何かを与えることでも幸福を感じることはできるんだよ」

 

コト「うん」
博士「じゃあ、より多く与える人達が集まったらどうなると思う?

 

コト「自分も与えられる側になるってこと?
博士「そうだよ。何らかの恩恵をもらって感動したらオキシトシンセロトニンという神経伝達物質が分泌される

 

コト「与えても幸せを感じるし与えられても幸せを感じるのね?」
博士「与え合うことは、物質の世界でも生物の世界でも結びつきを生むんだ

 

コト「それが愛?」
博士「そういう呼び方もあるかもね」

 

コト「なんか素敵」
博士「生物は幸福になるために生きているわけじゃない。ただ、こういう生き方をすれば人間は結果的に幸福を感じることができるんだよ

 

コト「うん」
博士「それに、幸福を感じさせる神経伝達物質がたくさんあるということは感じる幸福が多様だということだ」

 

コト「そうなんだ」
博士「複数の物質がいろんな割合で生産されるとしたら、人間が感じる感覚はものすごく豊富になると考えられる」

 

コト「漫画や映画を観たときの感動の度合いも作品によって違うね」
博士「人生も多種多様な感覚に溢れているということだね」