生き方を科学する

物理の専門家が科学と哲学を融合します

第34回 人はどう生きればよいのか?(人類階層:思想)

コト「じゃあ、どう生きればいいの?」
博士「周りの人にプラスの影響を与えるように生きればいいんだよ

 

コト「プラスの影響って?」
博士「相手に何かを与える向きをプラス、相手から何かを奪う向きをマイナスと定義することができる

 

コト「向きを定義するのってまるで電流が流れる向きの話みたいだね」
博士「そうだね。定義はどちらでもよい」

 

コト「プラスの影響がよいという結論はどこから出てくるの?」
博士「じゃあ、まずはいろんな場合を考えようか」

 

コト「うん」
博士「(1)プラスの影響のみの場合、(2)マイナスの影響のみの場合、(3)プラスの影響とマイナスの影響の両方がある場合、があるんだ」

 

コト「どれがいいの?」
博士「(1)のプラスの影響のみの場合、相手にすべてを与えると自分が死んでしまう。外部からエネルギーを与えられないと生物は生きていけないからね」

 

コト「それだとダメだね」
博士「(2)のマイナスの影響のみの場合、相手からすべてを奪う人ばかりになって人は常に命を奪い合うことになる。人類が滅びるまでね」

 

コト「これもダメだね」
博士「(3)のプラスの影響とマイナスの影響の両方がある場合だと、必要なエネルギーを受け取りながら相手にも何かを与えることができる

 

コト「(3)のケースしか残らないね」
博士「生きるということは与えられることだからね。それでも他のものを誰かに与えることで社会にプラスの影響をもたらすことができる」

 

コト「与え合うことかあ。前にそれが愛だって言ってたよね?」
博士「そうだね、結びつきによって絆が芽生えるんだ

 

コト「ふーん」
博士「与え合う関係が強い結合を生むんだ。一方通行では結びつきはできない

 

コト「ここでいう影響って何?」
博士「一番思い浮かべやすいのはお金だね。でもそればかりじゃない」

 

コト「うん」
博士「映画や音楽で人を感動させてもいい。スポーツで人を熱狂させてもいい

 

コト「才能がある人にしかできないと思うよ」
博士「自分の得意なことを人に教えてもいいし、周りの人に優しく接することにしてもいい。家族や友達を大切にすることだっていいんだよ

 

コト「人それぞれ違っていてもいいということ?」
博士「人間は平等ではない。ひとりひとり違うんだ。だから誰かに与えることができるものは人それぞれ異なっているんだよ。DNAが違っているんだから」

 

コト「ここでDNAのバリエーションが出てくるのね」
博士「生物的な多様性は人間の評価軸の多様性ともつながってくるんだよ

 

コト「うん」
博士「そして影響力が及ぶ範囲も人によって違っているんだ。この世界は平等ではないんだから」

 

コト「そうだね」
博士「だからひとりひとりが自分ができる範囲で誰かに何かを与えればいいんだよ。その何かは人それぞれなんだよ