生き方を科学する

物理の専門家が科学と哲学を融合します

第43回 放射性物質が人体に与える影響とは?(物質階層:物理学、生命階層:生物学)

コト「東京電力放射性物質を含む水を海洋放出しているけど大丈夫なの?」
博士「じゃあ、放射性物質が人体に与える影響について説明しよう」

 

コト「放射性物質は人体にどんな影響を与えるの?」
博士「放射性物質は、α線(Heの原子核)、β線(電子)、γ線(光)といった放射線を出すんだ」

 

コト「うん。放射線が身体に悪影響を及ぼすの?」
博士「放射線は生物のDNAにダメージを与えるんだよ

 

コト「そうなんだ」
博士「DNAは二重らせん構造を持っている。柔らかいはしごがらせん状にねじられているところを想像して」

 

コト「うん」
博士「それがDNAの構造なんだけど、放射線はその横木(足場)に相当するところをペリペリと剝がすんだよ

 

コト「なんか怖い」
博士「電離作用っていうんだ」

 

コト「DNAが壊れていっちゃうの?」
博士「でもDNAには修復機能があるんだよ

 

コト「そうなの?」
博士「アデニン(A)とチミン(T)、グアニン(G)とシトシン(C)、がそれぞれ対になっているから、一旦は剝がれても元に戻るんだよ

 

コト「じゃあ、放射線は怖くないの?」
博士「人体の回復力より少ない量の放射線を浴びたときにはDNAはすぐに修復するよ

 

コト「じゃあ、放射線が多いときは?」
博士「DNAの修復が間に合わずに人体はダメージを受ける

 

コト「それはどんなとき?」
博士「原爆や水爆なんかの核兵器による攻撃を受けたときだね

 

コト「それは怖いよ」
博士「アニメで再生能力が高い敵に対して、再生するより速くダメージを与えて倒したりするでしょ?

 

コト「うん。イメージしやすいよ」
博士「逆に言うと、少ない放射線に対して人体は耐性をもっているんだよ