コト「歴史上も仲たがいすることはあるの?」
博士「うん。例えば、分割統治により仲たがいをさせることがあるよ」
コト「分割統治って何?」
博士「古代ローマ帝国は、支配地域を植民市、自治市、同盟市のようにランク付けしてわざと差をつけて統治したんだ」
コト「そうするとどうなるの?」
博士「支配地域同士は仲良くならないよね。仲たがいするんだよ」
コト「なんでそんなことをさせるの?」
博士「ひとつの都市が反乱を起こしても鎮圧するのは簡単だからね。だけど複数の都市がまとめて反乱を起こしたら鎮圧するのが難しくなる。反乱軍が勝ったら古代ローマ帝国のほうが滅んでしまうからね」
コト「そうなんだね」
博士「分割統治は、支配地域が連携して反乱することを抑えるための統治方法なんだよ」
コト「でも古い時代の話なんだね」
博士「古代ローマ帝国のシステムは英国、米国、フランスなど現代の国家に受け継がれているんだよ」
コト「そうなんだ」
博士「分割統治は欧米諸国の植民地支配に利用されてきたんだよ」
コト「そうなの?」
博士「例えば、英国がインドに対して行った分割統治がある」
コト「うん」
博士「当時のインドにはヒンドゥー教徒とイスラム教徒がいたんだよ」
コト「そうなんだ」
博士「ムガール帝国の王族はイスラム教徒だった。ヒンドゥー教徒は支配される側だったんだ」
コト「うん」
博士「そのおかげでイスラム教徒とヒンドゥー教徒はもともと仲が良くなかったんだ」
コト「そうなんだね」
博士「英国は度々ヒンドゥー教徒とイスラム教徒を分断しようとした」
コト「そうなの?」
博士「ヒンドゥー教徒とイスラム教徒が手を組んで英国に歯向かうのを防止しようとしたんだ」
コト「例えばどんなことをしたの?」
博士「ベンガル分割令とかがあるよ」
コト「ベンガル分割令?」
博士「ベンガル地方のヒンドゥー教徒が住む領域とイスラム教徒が住む領域を分割しようとしたんだよ」
コト「そんなことできるの?」
博士「反発が大きかったので結局は撤回されたけどね」
コト「そうなんだね」
博士「英国はヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立を煽って統治に利用し続けたんだ」
コト「それでどうなったの?」
博士「ヒンドゥー教徒のインド、イスラム教徒のパキスタンといったように別々の国家に分裂したんだよ。実際にインド・パキスタン戦争が起こったんだ。今でもその対立は続いている」
コト「そうなんだね」
博士「こうやって刺激された結果、戦争が起こることもあるんだよ」