コト「共産主義だと、がんばった人にご褒美をあげることはできないの?」
博士「できないよ。平等に分配しないと共産主義じゃなくなっちゃうからね」
コト「うん」
博士「がんばった人にはご褒美をあげたいよね」
コト「そうだね」
博士「そのために例えば、特許法があるんだ。がんばって社会に役立つものを発明した人が一定期間だけ製造販売を独占できるんだ」
コト「特許法がないとどうなるの?」
博士「1つ目の問題点はがんばって発明した人が価格競争に負ける」
コト「必ず負けるってこと?」
博士「そうなんだよ。発明した人は物の製造コストと開発コストを負担しなきゃいけない」
コト「うん」
博士「マネする人は物の製造コストだけ支払えばよい。マネするほうが安くものをつくることができるんだよ」
コト「うーん」
博士「例えば、先発医薬品は開発コストと製造コストがかかるから高いんだ」
コト「そうなんだ」
博士「ジェネリック医薬品は特許権が切れた後の医薬品のことなんだよ。ジェネリック医薬品は製造コストがかかるけど開発コストがかからないから比較的安いんだ」
コト「開発コストってそんなに高いの?」
博士「数百億円かかると言われているよ」
コト「その状態で競争するとどうなるの?」
博士「ジェネリック医薬品のメーカーが競争に勝って、先発医薬品のメーカーがつぶれることが起こる」
コト「そうなんだ」
博士「頑張って発明した人が価格競争で負ける。会社が倒産する。そして借金を背負う。それは可哀そうじゃない?」
コト「それはそうだね」
博士「これは感情論に近いね」
コト「2つ目の問題点は?」
博士「社会に役に立つ医薬品を開発したメーカーがつぶれるとする。それを見て周りの人達はどうすると思う?」
コト「うーん」
博士「誰も新しいものを発明しようとしなくなる」
コト「そうするとどうなるの?」
博士「例えば、治療方法がない病気の治療薬が一切開発されなくなるんだよ」
コト「それは困るね」
博士「医薬品で説明したけど、他の技術であっても進歩が停滞するんだよ」
コト「特許法があると産業が発達しやすいんだね?」
博士「特許法がある国と特許法がない国で考えよう」
コト「うん」
博士「特許法がある国ではいろんな物が発明されて経済が発展する」
コト「特許法がない国だとどうなるの?」
博士「新しい物や技術がほとんど生まれない。もしくは技術の発展が遅くなる」
コト「確かにそうなりそうだけど」
博士「産業革命は英国で始まったんだ。当時の英国には既に特許法があったんだよ」
コト「へー」
博士「江戸時代の日本の技術力と産業革命後の欧米の技術力の差を考えれば分かりやすいかもね」
コト「そうだね」
博士「新しい物を造って売れば利益が得られる。そういう社会だと新しい技術を生み出そうとする機運が高まるんだよ。そして産業が発達すれば利益が社会全体に還元されるんだよ」