第19回 「愛」は物質世界に存在する?(物質階層:物理学)
コト「愛って物理学で扱うことができるの?」
博士「そのままでは愛を定義することはできないよ。だけど愛を『結びつき』と考えると扱うことができるよ」
コト「そうなの?」
博士「物理的には束縛状態と言うんだ」
コト「束縛状態?」
博士「ざっくり言うと2つの粒子がくっつくんだよ」
コト「ふーん」
博士「陽子と中性子は束縛状態を形成する。陽子と中性子がくっついた状態だね」
コト「そうなんだね」
博士「陽子と中性子がくっついたものを重水素の原子核というんだ。この束縛状態は強い相互作用に起因するんだよ」
コト「ふーん」
博士「同じように陽子と電子は束縛状態を形成する。陽子と電子がくっついた状態だね」
コト「そうなのね」
博士「陽子と電子がくっついたものを水素原子というんだ。この束縛状態は電磁相互作用に起因するんだよ」
コト「じゃあ、なんでもくっつくの?」
博士「陽子と陽子みたいに同じ粒子はくっつかない。中性子と中性子もくっつかない」
コト「じゃあ、電子と電子もくっつかないの?」
博士「そうだね」
コト「ふーん」
博士「相互作用は粒子の交換によって発生する」
コト「そうなの?」
博士「陽子と中性子は中間子を交換する。これによって陽子と中性子の間に核力が働くんだ。核力は強い相互作用によって発生するんだよ」
コト「ふーん」
博士「陽子と電子は光子を交換する。これによって陽子と電子の間に電磁相互作用が働くんだよ」
コト「ふーん」
博士「言い換えると、相手にないものを与えあっているんだ」
コト「それが愛?」
博士「粒子がつくる物質の世界でも、相手にないものを与え合うとお互いに引かれ合うんだよ」